セミョーノフのマトリョーシカ博物館(2)【恐怖の鑑定 編】

セミョーノフのマトリョーシカ博物館では紛失した昔の工場の製品を探していると聞き、
早速、モスクワの蚤の市でセミョーノフ製品を探してみました。
(前ブログご参照:volga-co.com/2018/03/21/01-)

モスクワでたまたま雪の中佇むセミョーノフらしいマトリョーシカを発見!
ひときわ大きいセミョーノフのマトリョーシカはボトルケースでした。

大きいし、これはお宝を発見してしまったかもしれない…!
柄の描き方も変わっているし珍しいのでは、と思ってすぐに購入し博物館に持って行きました。
しかし、鑑定結果、どうも工場の正規品ではなく大昔にセミョーノフ風の画風
を真似た内職工の方(工場の正規品でない)が描いたものだったようです…。

現在では、セミョーノフ工場のマトリョーシカはロシア国内で正規工場製品を探すのが
難しいくらい模造品が横行してますが…、
「しかし大昔によくこんなものを作ったものだ、むしろ珍しい…」と評価され、
博物館入りすることになりました(笑)

(むしろ、柄の描き方も珍しいし可愛らしいからVOLGA倉庫で保管しようと思ったのですが…)

他にも写真に映っている右上のキーロフの完璧な12個組マトリョーシカ…
お隣の5個組のポルホフ・マイダンのマトリョーシカもせっかく手に入れたのですが、
こちらも全部、博物館の各地方のマトリョーシカの展示コーナー向けに寄贈…。
(前ブログご参照:http://volga-co.com/2018/03/21/01-37/)

いつもモスクワの蚤の市でショールームのための備品などを購入するのですが、
今回はセミョーノフのマトリョーシカ 博物館のために役に立ってしまったようです。
鑑定の方がVOLGAのショールームに来たら貴重なアンティークマトリョーシカ達も
徐々に鑑定されて博物館に行ってしまう危険性がありますね!
それはそれで光栄なのですが、自分が見つけたコレクションを手離すのは寂しいですね。

鑑定で言われたことが面白かったので以下に紹介させて頂きます。
(VOLGAのワークショップをやられた方心当たりがあることがあるかもしれません…)

【鑑定ポイント1】
工場印と紙のラベルがなかった。年代によってデザインが異なるが、
常にマトリョーシカ裏にスタンプまたは紙ラベルが貼ってある。
(たまに紙ラベルを貼り忘れたり、工場印を押していなかったりすることも…)
・・・残念ながら、ボトルケースの裏は絵の具が塗ってあるだけだったため
工場の正規品ではないと判断されました。

【鑑定ポイント2】
黄色と赤の色に不透明絵の具が使用されている。せミョーノフ製品の象徴、黄い頭巾を被った
女の子マトリョーシカに使われている、赤と黄色の塗料はアニリンという塗料を使用しています。
アニリンは元々、染物のための染料。透明に塗装される特性があり、木肌が透けて見える特性が
あります。日光に弱く少し日当たりの良い場所に置いておくと色が飛んでしまいます。
古いマトリョーシカの1番目の多くに色褪せていて2番目以降が色褪せていないのはその為です。
・・・残念ながら、ボトルケースのマトリョーシカはしっかりと不透明絵の具で色付けされて
ました。少し、絵の具が濃くのっているところもあったりしたため「完全に違います」と断言
されてしまいました。

【鑑定ポイント3】
お花の描き方がそもそも異なる。せミョーノフのマトリョーシカの象徴は頭巾と「薔薇のお花」。
(他の花を描くことも確かにある)
・・・線が万年筆ではなくただの細い筆を使っている点、さらに頭巾同様に使っている不透明
絵の具が使用されている。大きなお花の工程だけでもとても手間をかけてますよね。

 

 

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